
藤浪にはデッドボール(死球)が多いというイメージがついてしまっていますが、実際のところはどうなのでしょうか?
2021年シーズンに規定投球回数に達した投手と藤浪の死球を比較してみました。
投手 | 2021年シーズン | 通算 | |||||
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防御率 | 打者 | 死球 | 打者/死球 | 打者 | 死球 | 打者/死球 | |
柳裕也(中) | 2.20 | 676 | 3 | 225 | 2183 | 14 | 156 |
青柳晃洋(神) | 2.48 | 651 | 3 | 217 | 2426 | 38 | 64 |
大野雄大(中) | 2.95 | 566 | 2 | 283 | 5469 | 29 | 189 |
森下暢仁(広) | 2.98 | 672 | 3 | 224 | 1157 | 7 | 165 |
大瀬良大地(広) | 3.07 | 600 | 5 | 120 | 4138 | 20 | 207 |
小笠原慎之介(中) | 3.64 | 615 | 4 | 154 | 2153 | 13 | 166 |
西勇輝(神) | 3.76 | 610 | 4 | 153 | 6952 | 87 | 80 |
九里亜蓮(広) | 3.81 | 647 | 8 | 81 | 3499 | 28 | 125 |
戸郷翔征(巨) | 4.27 | 639 | 6 | 107 | 1119 | 13 | 86 |
藤浪晋太郎(神) | 5.21 | 238 | 4 | 60 | 4040 | 52 | 78 |
2021年シーズンの藤浪は打者238人に対して死球4個。
おそよ60人(60打席)に1個の割合で死球を出しています。他の投手と比較して多いですね。
通算成績で見ても死球1個当たりの打者(打席)数は78で、やはり死球率が高いです。
数値的には青柳のほうが高いのですが、青柳は2021年シーズンで217と改善しています。
投手 | 2021年シーズン | 通算 | |||||
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防御率 | 打者 | 死球 | 打者/死球 | 打者 | 死球 | 打者/死球 | |
山本由伸(オ) | 1.39 | 736 | 2 | 368 | 2105 | 14 | 150 |
宮城大弥(オ) | 2.51 | 594 | 9 | 66 | 667 | 10 | 67 |
上沢直之(日) | 2.81 | 643 | 4 | 161 | 3313 | 25 | 133 |
伊藤大海(日) | 2.90 | 610 | 6 | 102 | 610 | 6 | 102 |
田中将大(楽) | 3.01 | 624 | 5 | 125 | 5948 | 36 | 165 |
則本昂大(楽) | 3.17 | 584 | 3 | 195 | 5970 | 39 | 153 |
今井達也(西) | 3.30 | 682 | 11 | 62 | 1933 | 27 | 72 |
石川柊太(ソ) | 3.40 | 653 | 17 | 38 | 2057 | 49 | 42 |
加藤貴之(日) | 3.42 | 595 | 3 | 198 | 2624 | 15 | 175 |
岸孝之(楽) | 3.44 | 620 | 1 | 620 | 8772 | 58 | 151 |
田嶋大樹(オ) | 3.58 | 608 | 5 | 122 | 1630 | 17 | 96 |
小島和哉(ロ) | 3.76 | 606 | 6 | 101 | 1317 | 10 | 132 |
橋光成(西) | 3.78 | 728 | 6 | 121 | 2757 | 38 | 73 |
松本航(西) | 3.79 | 638 | 4 | 160 | 1474 | 8 | 184 |
藤浪より死球率が高いところ
パ・リーグの投手と比較すると、藤浪より死球率(死球1個あたりの打者数)が高い投手が何名かいます。こうして見ると藤浪は死球が多い方ですが、「プロレベルじゃない」というのは言い過ぎ。目立ってしまっているので、必要以上に「藤浪の死球」が叩かれてるのではないでしょうか。
2020年シーズンに藤浪投手が与えた死球は2個。
同シーズンにセ・リーグで最も与死球が多かったのは巨人の菅野投手で7個です。
投球イニング数がちがうので単純に比較はできませんが、死球1個あたりのイニング数を見ると、藤浪38.2イニングで1個に対し、菅野19.6イニングで1個です。
死球1個あたりのイニング数なので、大きいほうが死球を与えていないことになります。藤浪のほうが菅野よりもイニング数に換算しても死球が少ないんですね。
実は菅野の与死球が多いというわけでもありません。
ほかの主な投手の成績も調べてみました。
選手名 | 与死球数 | 投球回 | 投球回/与四球数 |
---|---|---|---|
柳裕也(中日) | 6 | 85 | 14.2 |
橋光成(西武) | 7 | 120 | 17.1 |
戸郷翔征(巨人) | 6 | 107.2/3 | 17.9 |
菅野智之(巨人) | 7 | 137.1/3 | 19.6 |
山本由伸(オリックス) | 6 | 126.2/3 | 21.1 |
野村祐輔(広島) | 3 | 70.2/3 | 23.6 |
青柳晃洋(阪神) | 5 | 120.2/3 | 24.1 |
藤浪晋太郎(阪神) | 2 | 76.1/3 | 38.2 |
千賀滉大(ソフトバンク) | 2 | 121 | 60.5 |
大野雄大(中日) | 0 | 148.2/3 | --- |
死球1個あたりの投球回数が少ない順(より頻繁に死球を出している順)に並べてみましたが、藤浪は死球をあまり出してないんですね。野村(広島)よりも山本由(オリックス)よりも死球を出してません。
確かに藤浪には死球の多いシーズンもありました。
例えば、2年目の2014年は163イニングで与死球11個。
死球1個あたりの投球回数は14.8イニングです。
2017年にも59イニングで与死球8個。
1個あたりは7.4イニングでした。
ただ、そんな藤浪=死球は過去のイメージ。
2020年シーズンは76イニングと3分の1回も投げて2つしか死球を出していません。
藤浪が死球を出すと、アンチがやたら騒ぎ出しますが、それなりのイニング数を投げてシーズンで1つも死球を出さない投手なんて少数派です。みんなそれなりに死球を出してます。
藤浪もすでにそれなりのレベルに落ち着いています(むしろ少ないほう)。
藤浪が死球を出したくらいでやたら騒ぐのはやめましょう!